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■ 今月読んだ本
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第２１回 神道は逆襲しない!?
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「お伊勢さん」へは三度ほどお参りした。学生時代、朝早く東京を出て寄り道をし、夜遅く帰郷した思い出がある。後の二回も、天照大神には申し訳ないのだが、「通りがけ」に物見遊山で観光しただけである。
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由緒ある神社仏閣を見ることは好きだ。私の感性では、中尊寺、善光寺、金比羅宮、太宰府は、面白い現代建築と何ら変わりがない。建造物としての美しさが興味を引くにすぎない。実際、旅行に同行した人から、賽銭を投じて拝みもせず、建物をいろいろな角度から眺め尽くす行動に、あきれられたことがある。信心がない、というわけだ。
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読む会のテキストとして管野覚明『神道の逆襲』（2001年、講談社現代新書）を読んだ。読書会の魅力のひとつは、全く興味がない分野の知識を得る点にある。サントリー学芸賞を受賞し多くの書評が出された本書で、伊勢神道、吉田神道、垂加神道、国学・復古神道の概要はわかったつもりになった。しかし、依然として「閉じた宗教」には関心がない。
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大国主命が通った気多岬（古事記に記載あり）のすぐ近くに住み、出雲大社に信仰以前の親しみを抱く私は、東京生まれの菅野氏が伊勢神道の系譜に心酔する心性を理解できない。西日本の人間にとって、天照大神系列の神道は逆襲しないのではないのか。
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岩田 直樹
(いわた なおき)
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| 高校で数学を教える。十代後半から二十歳過ぎまでは人並みに小説を乱読したが、ここ十年ほどは、現象学からはじめて、思想書をゆっくりと読み進んでいる。 |
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告知板
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