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■ 定有堂雑記
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第２１回 青空―八起きする友人たちへ
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市街地の空洞化が進んでますね。１０年前より３４パーセントも人出が減ってるというデーターが出てました。（休日は４５パーセント減）
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ゲシュタルト・チェンジという言葉があって、地と図のように突然替わる、ということをわかりやすく理解させますよね。
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それは、ある日突然に認識の基盤が様変わりしていたことに気付く、ということの驚きを雄弁に物語って、適切かもしれません。
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定有堂の近くに、車を置いている通りがあります。スーパーが消えて駐車場になった区域です。その正面に、街の人たちの尊敬を集めた老舗の商店がありました。弱者の人たちをお世話することに代々関心が深く、集会所も供されてました。ついこの前、事情はよくわかりませんが、倒産整理という事態になりました。
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駐車場に車をとめる度に、そのお店の変化が目に入ります。シャッターが降ろされ、引越しがあり、翌日からは解体も始まりました。木造ながら広い建物なので、作業は数日におよび、そしてとうとう昨日完全に撤去され、数百坪の更地と、両隣りの狭間に、澄み渡った秋の「青空」が、ポカリと開けていました。
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「青空」とは、この終わりから始める、ということだ、と思い起こしました。いい方が、なんか変ですネ…。
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本が好きな人は、結局、書物フェチなのではないかと考えます。風景のオリジンが、書物にあるのです。書物原理主義といってもいいのではないでしょうか。
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この世を書物の土台の上に築き直す。これはフェティシズムですよね。なぜ築き直すのでしょうか。…この世を一度、廃墟として見透かしてしまったから。
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「青空」から始めるって、そういうことだと思います。
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本屋を始めるとき読んだのは、「就職しないで生きるには」（晶文社）という本でした。廃墟を青空と感じることができれば、生き直すことは容易です。
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ふと、「青空」ということばを、力強く感じ直してみる、この頃です。
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