|
■ 今月読んだ本
|
第３１回 皆さんは本をどこに置いていますか？
|
|
むやみに本を増やすわけにはいかない。しかし、買いたい本は多い。このディレンマを弁証法的に止揚する能力がない私は、「これが講座を買う最後のチャンスだ」と決意、『公共哲学』（2001年11月〜02年7月、東京大学出版会）全10巻のうち7巻を毎月おそるおそる購入した。最終巻『21世紀公共哲学の地平』を、今読み終えたところだ。
|
もともとおもちゃの散乱していた私の部屋が、来春中学生になる息子に乗っ取られ、満杯の大きな本棚３つが小さな客間に移った。狭い家に本の置き場がなくなってしまった。
|
全集や講座をそろえる趣味はないが、就職し少しお金に都合がつくようになって以降、幾セットかを購入した。90年代に刊行された『現代思想』、『丸山眞男集』、『廣松渉著作集』（いずれも全16巻）と、理学部に在籍時代、叔父に譲ってもらった『現代物理学の基礎』（全11巻､78年）は私の財産である。
|
『公共哲学』は、政治、経済、科学技術、地球環境、中間団体等の今日における論争的な諸問題に大胆に踏み込んだ実り多い講座である。現象学の「自己・他者・世界」関係によって出発した私のささやかな思索は、ようやく現実世界へと到達しつつある。
|
このような優れた講座は今後も是非とも欲しい。皆さんは本をどこに置いていますか？
|
|
|
|
|
|
|
岩田 直樹
(いわた なおき)
|
| 高校で数学を教える。十代後半から二十歳過ぎまでは人並みに小説を乱読したが、ここ十年ほどは、現象学からはじめて、思想書をゆっくりと読み進んでいる。 |
|
|
告知板
|
|
|
