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■ 今月読んだ本
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第３３回 倫理学の越境－ロールズからセンへ
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| ジョン・ロールズ（1921年生まれ）が死んだ。主著『正義論』（1971年）の邦訳（79年）はよくないらしく改訳中だということで、恥ずかしい話だが、私はまだ読んでいない。しかし、彼の「正義の２原則」－①公正な機会均等、②最も不遇な人々の利益の最大化を図る－は頑迷な自由至上主義者以外にとっては今や常識で、すべての社会理論はロールズ理論に対する態度表明を迫られている。 |
「最大多数の最大幸福」を標榜する功利主義に対抗する形で、「原初状態」、「無知のヴェール」、「反照的均衡」といった概念によって、社会的経済的不平等を克服しようとする彼の志操はとても尊い。
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ある本で絶賛されていた川本隆史『現代倫理学の冒険－社会理論のネットワーキングへ－』（創文社、95年）を読んだ。
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『ロールズ』（講談社、97年）に目を通したことがあるので、川本はロールジアン？だと思っていた。しかし、ロールズを超えようとしているアマルティア・センに惚れ込んでおり、私と同じ心性に親和性を強く感じた。
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岩田 直樹
(いわた なおき)
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| 高校で数学を教える。十代後半から二十歳過ぎまでは人並みに小説を乱読したが、ここ十年ほどは、現象学からはじめて、思想書をゆっくりと読み進んでいる。 |
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告知板
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