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■ 黄色い部屋の片隅で（ミステリ・アーカイヴ）
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第６回
横山光輝追悼（２）
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もうひとつの競作は、昭和４５年の〈江戸川乱歩・恐怖シリーズ〉である。
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１ 白髪鬼 横山光輝 １５〜２０号（4/5〜5/10）
２ 地獄風景 桑田次郎 ２１〜２４号（5/17〜6/7）
３ 屋根裏の散歩者 古賀新二 ３０〜３３号（7/19〜8/9）
４ 人間椅子 石川球太 ３４〜３５号（8/16〜8/23）
５ 芋虫 石川球太 ３６号（8/30）
６ 白昼夢 石川球太 ３７号（9/6）
７ お勢地獄 石川球太 ３８号（9/13）
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こちらも、前年からの講談社版『江戸川乱歩全集』の刊行を意識しての企画であろう。それにしても、かなり不思議なラインナップである。
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「屋根裏」と「人間椅子」を除くと、余程の乱歩好きでなければ読んだことのないような作品ばかりだ。石川ひとりで４作というのも多いが、総ページで換算すれば、アンバランスとまでは言えないかも知れぬ。察するに、各作家に、好きな作品を選ばせたのであろう。そうでなければ、こうはなるまい。掲載ペースに途中、空白があるのも妙といえば妙である。都合５号分、丁度一作家分位に当たる。勘ぐれば、誰かが穴を明けたとも見える。一寸したミステリである。
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先の『人外魔境』同様、このシリーズも角川ホラー文庫に入っているものの（平成１２年）、こちらはもっと杜撰で、「白髪鬼」と「地獄風景」しか収録されておらず、古賀は以前に単行本で出ていた「陰獣」との差し替えで、石川に至っては、全くの蚊帳の外である。確かに、謳い文句は〈傑作コミック・アンソロジー〉であって、何処にもキングのシリーズ単行本化とは書いてないから、版元に落度はないといえるが、しかし、ここまで思わせ振りの編集は罪作りであろう。
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徒し事はさて置き、横山の「白髪鬼」は、２００ページに及ぶ長編で、シリーズ中最もボリュームがある。原作も長編であるから、まあ当然といえば当然である。謀略により殺された男が、墓場から蘇るという話は刺激的で、映画にもなったし、ＴＶドラマ化もされている。定めし、乱歩も草葉の蔭で苦笑していることだろう。御承知の通り、乱歩には、外国小説を換骨奪胎して自作とした翻案作品が少なからずある。『幽霊塔』『幽鬼の塔』『緑衣の鬼』『三角館の恐怖』などがそれで、少年物にもあり、『白髪鬼』は、マリー・コレリの『復讐（ヴェンデッタ）』が原作であった。
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白髪となって、墓場から生還するというモチーフは、作家心を揺さぶる何かがあるらしく、それ故にこそ、乱歩も明治時代に一度翻案されているこの作品を敢えて手掛けたのであろうし、横山も、既にこの前年の「闇の顔」で、用いている。「白髪鬼」のヴァリアントといっても通用する位に類似した作品である。さらに付け加えるならば、和田慎二も『銀色の髪の亜里沙』という、明らかに影響下にある作品を描いている。
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