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■ 定有堂雑記
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第五回 ロドスで跳んだ男
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引用を重ねられて、へんに有名になった小話に、「ここがロドスだ、ここで跳べ」というのがありますネ。
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ある男が「オレはロドスですごいジャンプしたぜ。あっちに行ったら聞いてみな」と壮語する。と、一人が、「聞くには及ばぬ。ここでジャンプしてみろよ」とまぜっかえす。（『イソップ寓話集』「法螺吹」）
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正しい解釈は知らない。イソップは「事実による証明が手近にある時は、言葉はいらない」としめくる。私は、あちらの話が、こちらで食い違う、という方向で読む。男は、あちらとこちらの連続性を素朴に疑わない。
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本が好きな人がいる。本の話をする。いろんなことでとても話がはずむ。いやー、じつに同じことを考え、同じ見方をしているネ、と親しみを感じる。で、具体的な現実の話に帰り、互いの判断のカードを出し合う。あんがい敵だったということがある。
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現実と理念のすり合わせが違うじゃないか、と思うのだが、当人の頭の中では正しく合わさっているらしい。「ここがロドス」じゃないか、とそんなふうに当惑してしまう。むろん相手もそう思ってるかも知れないけど…。
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本を中心に生きてると、こんなことよくありますね。
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奈良 敏行
(なら としゆき)
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| 定有堂書店店主。１９８０年開業。人との触媒としての「本」に関心。サークル、ミニコミ好き。スタンスは「町の本屋」。オブセッションは「本屋の青空」。趣味は、本読み、ノートパソコン、本屋。００年６月からは「本好き、本屋好きな」人たちと、website.teiyuという「隠れ里」に住む。 |
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