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■ 定有堂雑記
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第八回 エルド山
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ファンタジーだけど、「妖女サイベルの呼び声」という本がある。フォースを持つサイベルという妖女とそこに棲む伝承民話の中の不思議なけものたちの交友のお話だ。彼女のフォースは、けものたちの「まことの名」を呼ぶ。呼ばれて、けものたちの非凡なマインドに炎がともる。そしてエルド山にしばし棲みつく。
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じつはサイベルはライラレンというけものを求めているのだが、出会うまでの話が経糸。
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website.teiyuって何？ と聞かれると、「エルド山」と答える。何があるの？ と訊ねられたら、毎夜コラム一話の「千夜一夜物語」。コラムを紡ぐのは、吟遊詩人？ この世の表層に生涯を終えるのでなく、マインドの言葉で生きる人たち。うーん、わかりにくくなってしまいますね。
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南陀楼綾繁さんがよく、「仕事」と「私事」というその私事。啄木なら仕事と為事。ハンナ・アレントは、労働（labor）、仕事（work）、活動（action)と敷衍している。営みを階層付けるのは良くないけど、手のひらからこぼれてる何かに、名前を付けてみるのは悪くない。
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ミニコミは身の丈。いますぐにできる。本当にしたい事って何？ そう問うとき、この世は伝承民話にひたされる。ちょっとファンタジーな話でごめんなさい。
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ライラレンに出会えたサイベルは、最初に何を頼んだか？「わたしたちを連れて帰って」と小声で告げる。むろん、エルド山へ。同じ場所から同じ場所へ還る。でもこの場所への「愛しみ」が手に残る。
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「妖女サイベルの呼び声」
パトリシア・マキリップ/ハヤカワ文庫
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