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■ 黄色い部屋の片隅で（ミステリ・アーカイヴ）
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第３１回 都筑道夫没後２０年
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今年の１１月２７日で、氏の没後２０年を迎える。ここ数年来、未単行本化作品の出版や旧作の文庫化が相次いでおり、今年も続いている。オールドファンの喜びもさることながら、新しい読者の開拓に繋がって欲しいものだ。本連載の第１回が、氏の追悼記事だったから感慨も一入である。
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| 有難いことに、ＤＶＤ化やＣＳ放送のおかげで都筑道夫原作（脚本、原案、監修等含め）の映像作品が、かなり視聴できるようになった。２０年前に比べて隔世の感である。 |
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「国際秘密警察 絶対絶命」
谷口千吉 東宝 １９６７
「国際秘密警察」は、三橋達也主演のスパイ・アクションで、全５作が作られた。佐藤允や水野久美、若林映子などが賑やかに脇を固め、悪役側も不良外人が良く似合うジェリー伊藤や冷酷な中丸忠雄のふてぶてしさに見ごたえがあり、中村哲や天本英世も、やはりこの人たちが出なきゃあね、である。（第４作「銀の鍵」で、天本はかなりクレージーな殺人嗜好癖の人物を演じていて、「殺人狂時代」に通じるものを感じる）
第１、２作はかなりシリアスなサスペンス調だが、３作からは打って変わってユーモアを利かせた軽快なアクション・コメディになった。都筑が原作を提供したのは、シリーズ最終作。東南アジアのブッダバル国の元首がお忍びで来日。国際警察の三橋とニック・アダムズ（！）がボディガードを務める。（この辺りは、００７というよりも００１１のノリである）浜美枝が能天気な役で、佐藤允や平田昭彦、土屋嘉男も出演。他の４作に比べて、アクションや小道具の仕掛けがケレンたっぷりで、如何にも都筑作品である。
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「怪盗Ｘ 首のない男」
小杉勇 日活 １９６５
「怪盗Ｘ」は残念ながら、映像が確認できない唯一の映画作品なのだが、出演は宍戸錠、松原智恵子、川地民夫、山本陽子ほか。シナリオとスチルから察するに、宍戸が二十面相かルパンばりに七変化して、お宝を盗む軽快なアクション・ミステリのようだ。
特に放送コードに触れそうな部分はないように思われるので、どこか（チャンネルＮＥＣＯあたり）の局が宍戸錠追悼特集でやってくれないか、と期待したが動きはなかった。
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「蜃気楼博士」
ＮＨＫ １９７８
昨年、まさかの再放送が行われた、少年ドラマ・シリーズの作品。局にもＶＴＲは残っていなかったが、出演者の一人が録画していたため、この快挙となった。是非、ソフト化を検討して欲しいものだ。
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さて、都筑作品に限定本は公式には、ない。
以前取り上げた『クレオパトラの目』は、凝った印刷なので、少部数とは思うがエディション・ナンバーは入っていない。企画者とお遊びで作ったというジグソー・パズル仕立ての『夕陽荘２３号室』は、２部のみという、稀覯中の稀覯ではあるが、そもそも市販されていないのだから仕様がない。
入手が難しい本、ということになれば、デビュー作『魔海風雲録』に尽きるだろう。ここ２０年間くらいで、見かけたのは、古書展で１回、オークションで１回だけである。特に後者は、瞬く間に競り上がって、とんでもない値段で落ちた。魔界である。
『やぶにらみの時計』も、帯付き完本となると、途端に出回らなくなる。黄色い本に水色の帯である。
三一書房の「異色長篇シリーズ」も、ビニカバ・帯付き６冊揃いは余り見かけない。ビニカバ付きのままだと、本体の背が反ってしまうし、さりとて、カバなしだと、幅の狭い帯は無くなりやすい。『いじわるな花束』も帯付きは稀だ。
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で、限定本はない、筈であったが、迂闊なことに、最近になって、１点刊行されていることを知った。
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『幻燈館』 西村健三／発行
１９９０年 限定１００部
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産経新聞（大阪版）に連載された同題ショート小説から１９編を選び、二つ折りの用紙の右側に小説、左側に連載時の西村健三のコラージュを印刷。未綴じのままフランス装仕様のタトウに包み、筒箱に入れ、布貼の夫婦箱に収めた厳重なもの。惜しむらくは、画家のサインしか入っておらず、小説集というよりも、画家の作品集の趣で作られているようだ。また、収録作品は、ざっと調べた限り、未だ単行本や文庫には収録されていないようである。
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